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2013.12.30 15:43|発達障害
今年も残すところあと少し。これが今年最後の記事になると思います。来年もいろいろな情報をアメリカから発信していけたらと考えております。

さて今回は発達障害のグレーゾーンの子供たちと家でできる療法についてお話してみたいと思います。

日本にいるお友達と発達障害の話をするとよくでてくる「グレーゾーン」。アメリカにはない言葉なのでちょっと調べてみました。日本では診断の段階で、発達障害の症状には当てはまる部分があるにもかかわらず、診断基準には満たされなかったり、十分な情報がなかったり、矛盾する所見があるために、はっきりとした診断ができなかったときに用いらているようです。もちろんこういう子供たちはアメリカにもたくさんいて、私自身子供たちを日々診断をしていますが、アメリカでは精神医学における診断書DSMの診断基準に満たされない場合はこちらではグレーゾーンですね、とは言わずにただ診断をしません(情報が少なく診断できない場合などにはRule out (R/O)という言葉を使って診断するときもありますが)。たとえばADHDを診断する際に、少し症状が見られるけれど診断基準に満たされていないときは、症状などをメモしておいて次に診断する人にきちんとその情報が伝るようにしています。診断するほうも人間、しかも毎日一緒にいるわけではなく(もちろん子供の場合は親からのアンケートの結果や学校の先生からのリポートなども参考にしますが)そのときの印象で自分なりの判断で診断していくのが事実です。そのため診断に不満があればセカンドオピニオン(第二の意見)を求めたほうがいいと思います。


誰にも明らかに発達障害があると分かる子供に比べると、このグレーゾーンにいる子供たちへのまだまだサポートが少ないという日本。親としてはどうしたらいいか、どうやって自分の子供を健やかに育ててあげられるか、毎日試行錯誤だと思います。重度の障害がある子供たちと一緒に療育を受けさせるべきなのか、それとも健常者の中で普通に育ててあげていったほうが良いのだろうか?学校で特別な手当てを受けたほうが子供のためなのか、それとも普通に他の子と同じように通わせてあげたほうがいいのか?などなど。グレーゾーンの子供を抱える夫婦はお互いの意見・考え方の違いから関係に溝ができることもよくあるようです。


今回はグレーゾーンといわれる子供たちに親が家でどんなサポート・療育をしていったらいいか、いくつか挙げてみたいと思います。もちろん子供によって症状や度合いなどは違いますが、重度の発達障害でないとサポートを受けられにくい、どうやって育てていったらいいか不安などとの話をよく聞くので、そんな方たちの役に立てればいいなと思います。

まず親ができるサポートの話をする前にひとつ伝えたいことがあります。親が自分の子供の療育をしていく上でプロのカウンセラーやOT(作業療法士)との一番の違いは、感情がはいるということ。カウンセラーであればまったく感情的にならずに子供への期待もなく事実を受け止め客観的に物を見ることができるけれど、親はそれはできないという前提をきちんと理解することは大切です。それは悪いことではなくむしろ子供を愛している親にとっては当たり前のことなのだけど、その事実をきちんと理解しながら子供と向き合っていくということ。何度いっても同じことを繰り返してしまう子供に「何度も言っているでしょ、なんでわからないの」と親であればだれもがいったことがあると思うけれど、カウンセラーであればそうはこない。「この間話したの覚えているかな?もう一度やってみようね。」となるでしょう。カウンセラーとしてではなく、親として療育に取り込むということをまずはそれをわかっていなくてはいけません。「ここまではできるようになってほしい」という気持ちが「他の子ができているのでうちの子もできて当たり前」という気持ちに変わっていく前に自分をチェックしてください。希望(Hope)と期待(Expectation)は違うということを理解した受け取り組んでいければいいですね。

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それでは発達障害グレーゾーンといわれる子供たちに家でどんなサポートをしていったらいいのでしょうか?ここではお家でできる9つのサポートについて箇条書きで挙げていきたいと思います。

1.感覚統合
こちらは前に詳しく記事を書いているのでもしよかったら読んでみてください。まずは子供の感覚を知るということ。発達障害の子供の感覚の統合度の低さは明らかです。子供の感覚を知った上でその子にふさわしい感覚統合を家で取り入れてみてください。遊び感覚でできる感覚統合ツールもたくさんあります。そして子供がいる環境にも目を向けてみてください。集中して宿題ができず結局部屋で遊んでいる、なんていうときは何度も同じ注意することより、子供の部屋にたくさんあるおもちゃを片付けたり、あまり物が周りにないダイニングテーブルで宿題をさせたりしてみると案外集中してさっさと終わらせてしまうかもしれません。

2.生活習慣
早寝早起きの規則的な生活と運動。グレーゾーンでなくても規則的な生活と体を動かすことは子供にとってとっても大切なこと。そして運動することによって「幸せホルモン」とも呼ばれるセニトロンを増やすことができます。毎日の起床時間を決め、週末でもなるべく規則正しい生活を心がけましょう。

3.食事管理
自閉症の子供たちの食事療法はここ5年ほどアメリカではかなりホットなトピックです。グルテンフリー(グルテンを抜く食事療法)の食事が効果があるといわれ私が働く学校のランチも特別メニューの子供たちが数多くいます。Love Lifeのメンバーが11月に行ったカンフェレンスでは食事療法の食事療法やサプリメントの最新情報の講義もあったようなので、またこちらで情報を提供していけたらと思っています。ここまで制限する食事療法は小さい子供には大変な場合もあるのですが、子供の食べるものに気をつけるのは大切なことです。まずはこの3つから考えてみてください。①甘いものを控える、②着色料をつかった食べ物をさける、③保存料を入っている食べ物を控える。

4. しつけ
発達障害の子供のしつけというとまず浮かぶのが自閉症の子供を対象としたABA(応用行動分析)。アメリカでも昔から広く使われている療法ですがこれ自体は特に難しいことではなく、生活に取り入れやすものです。ただ私個人の意見としてはABAは自閉症に対しての一部の療法であること、しつけたり物事を教えたりするには効果的ではあるけれど、ABAのことばかり考えて子供と向き合っていると一番大切なRelationshipの部分を忘れてしまっているケースもよくみられます。みんなと同じことができるようにしつけるのも大切ではあるけれど、その子供がなぜ人とは別のことがやりたいか、なぜそこまでそれにこだわるかなどということを分かってあげること、一緒にそこで立ち止まってあげることも親としてとても大切だと思うのです。そのためここではしつけ・学習の方法としてだけ挙げさせていただきます。それではどうやってABAをしつけや学習にとりいれるのでしょうか。例えば子供のおむつを取ろうとするとき。ちゃんとトイレを使うことをできたたびにM&Mを与える。子供が正しいことをしたときにReward(ご褒美)を与える(Positive Reinforcement)、という仕組みです。逆にお店で欲しいものがあると癇癪を起こす子供に黙らせるために物をあたえてしまうこと(Negative Reinforcement)はしてはいけません。教えたい行動ができたときにご褒美(物であっても言葉であっても)を与えることで子供がその行動をもう一度くりかえすようになるのが目的です。大切なことはご褒美はすぐ与えること、そして毎回与えることです。

5. Transition
発達障害の子供たちの多くがひとつの行動から次の行動への移動が苦手です。特に楽しんでいることをやめて次のものに移る(ある意味頭の切り替えですね)のに他の子供に比べて時間がかかるの普通です。例えば、テレビ番組を一つ見終わって消したら癇癪を起こすなど。アメリカではこれをTransitionというのですが、学校に行く年になっても休み時間に遊具で遊んでいた子供がみんなが教室に戻っても嫌がって戻ることを拒んだり、戻ってもその後癇癪を起こしてしまったり次への切り替えが上手にできなかったりする子もいます。親としては一日を通してこのTransitionが大変なところ(テレビを消したあと、おもちゃを片付けるとき、お友達のうちから帰るとき、公園から帰宅するとき、お昼寝をするとき、お風呂にはいるときなど)を把握していると思うのでまずはWarning(警告)を15分前から始めてみてください。10分、5分、そして「あと1分よ~」と。タイマーなどを使ってもいいと思います。それでも大変なTransitionは毎日の決まりごとを作ってみるのも効果的です。例えば1分前になったらテレビのリモコンを子供の前に置いて、時間がきたら子供がテレビを消していつもリモコンを置いてある籠に入れる、というう役目を与えて毎日それを繰り返すなど。それでも難しいときはしつけでもでてきたABAのPositive Reinforcementを使って、おもちゃをきれいに片付けたら冷蔵庫に張ってある表にひとつシールをはってあげるなどというのも効果的だと思います。

6. Visual (視覚)を使った学習
発達障害の子供たちは物事を学ぶ(頭の中に情報が入ってくる)方法が普通の子供たちとは異なっていることがよくあります。聴覚より視覚が鋭い子供が多く、耳から聞くより絵や写真を見て学ぶ方が情報が入りやすいのが事実です。これはグレーゾーンの子供たちも同じです。アメリカの小学校はどこも教室に広く、一日のスケジュールが貼られているのが普通ですが、家でも子供が見えるところにスケジュール(特に朝と夜の日課)があると子供は安心します。字がまだ読めないうちは絵や写真を使ってのスケジュール、そしてそれを一緒に毎日チェックしてあげるといいと思います。新しく物事を教えるときにも一緒に絵や写真があるとよく頭にはいっていくので心がけてみるといいと思います。例えばご飯のときにどうやって椅子にきちんと座るかというのを教えるときに「足ちゃんとして」「猫背になってるよ」などではなくきちんと座った写真をみせて「こう座ってごらん」と学習させるなどが効果的でしょう。

7. ソーシャルスキル
発達障害の子供はソーシャルスキルがどうしても他の子供より遅れがちです。きちんと挨拶をしたり、年相応には人への対応ができてなかったりします。人の言葉やテレビのキャラクターを真似て同じことを繰り返すことはできても、その趣意を理解して人の行動から自然に学んでいくということが苦手です。ある意味「わが道を行く」タイプなのですが、社会のルールや常識を他の子供よりもきちんと教えていくというのも親の役目です。困るのは子供です。学校でのいじめや仲間外れもソーシャルスキルが欠ける子供に対して「なんだろ、あの子」というところから始まることもあります。そのうちできるようになるからまあいいか、ではなく、ソーシャルスキルはきちんと小さいうちから根気よく教えていくことです。挨拶やテーブルマナー、人との簡単な会話など上手にできていないことを注意するのではなく、ここではスキルを教えていくことが大切なのです。分かっていて当たり前、できていないので注意するという態度から、できていないのはまだ学んでいないから、教えてあげようというふうに変えていけたらいいですね。ソーシャルスキルを教える方法としては絵本やテレビ番組を使っても効果的です。子供本人のできないことを話すのではなく、テレビのキャラクターがお友達に謝る話であれば、それを使って「こうやって謝ったらいいのね」「どうしてこのキャラクターは謝らなければならなかったのかな?」などと話をする機会をつくることが大切です。アメリカにはソーシャルスキルを教えるためのSocial Storyというタイプの絵本がありますが、日本の絵本でもそれぞれ「教え」「メッセージ」が入っている絵本があると思うのでそういうのを集めておいて、ちょうどいい状況があればその本を紹介してあげ、また何度もその本を復習していくというのも効果的です。少し大きい子向けですが、日本昔話には「欲をだすといいことがない」「約束を守らないとその仕打ちが自分に返ってくる」などの教えをとく本も沢山ありますよね。


8. 興味のある分野を伸ばしてあげる
こだわりがあったり、興味が偏っているとそれが弱点のように言われる発達障害の気がある子供たち。親としてはどうして他の子供みたいにいかないんだろう、と思うことはあると思いますが、そのこだわりや強い興味があるものを大切にしてあげることもまた大事だことだと思います。好きなことを上手にできること、誰よりも詳しいことが、その子の自信につながっていきます、短所ではなく長所、としてとらえてあげたらいいのではないでしょうか。


9. 子供の視野の中に入っていく
最後に一番大切なことは、親がどうやってその子供の世界に入っていくことができるかということ。外から「こっちのほうがいい」「あっちもやったほうがいい」ではなく、その子供が見えているものを見えている場所から一緒に眺めてみることの大切さを忘れないでください。外から見たり話しかけているだけでは、子供にはあまりインパクトがないし一緒の景色が見えません。色々なことを教えたいと思っていても、子供が聞いていないのであれば意味がないのだから。子供がどう思っているのかわからなかったら、まずは聞いてみること。どうしてそんな行動をとったのか、なにを考えていたのか、「こうすればよかったでしょ」ではなく。質問はなるべく「はい・いいえ」で答えるものではなく、What, Where, Why, When, Who and How(何が、どこで、いつ、誰が、どのように)から始まるもので。

これらのサポートはひとつの療法ではなくホリスティック(全体的な)なアプローチです。日々カウンセラーとして発達障害をもつ子供、その他の精神的な病気を抱える子供、恵まれない家庭環境で育った子供たちと向き合っていく中で実際に使っている・指導しているものばかりです。一つずつもう少し深く掘り下げて話をしてみたいなと思うトピックばかりなので、また来年機会があったら書いてみたいと思っています。

今年一年Love Life styleを見守ってくださったみなさまありがとうございました。来年もよろしくお願いします。

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2013.12.09 06:54|発達障害
アメリカではだれでも知っているADHD。日本では最近発達障害の認識もかなり浸透してきて、注意欠陥・多動性障害という言葉も少しずつ認知されてきているようです。ただこのADHD、かなりの誤診が多いのも確かで、すこし落ち着きがなかったり他の子より幼かったりすると「うちの子供もADHDじゃないかしら?」という心配する親も多数いるようです。アメリカでは3歳から17歳の男の子の12%(10人にひとり以上ですね)がADHDの診断を受けているという統計もでています。

それではどんな子供がほんとにADHDなのでしょうか?ADHDと診断する上で3つのキーポイントがあります。まずは「不注意」(Attention deficit)あること。集中力が続かない、気が散りやすい、同じ注意を何度もされたり、書く字がとってもいいかげんだったり、忘れっぽいというのもこの中にはいります。

そして「多動性」( Hyperactive)であること。これはじっとしていることが苦手、机に座っても手や足などがそわそわ動いていたり、落ち着きがないということです。ADHDのHはこの多動性(Hyperactive)からくるため、この症状はなく「不注意」と「衝動的」がひどく問題な子供はADDという診断がくだされます。小さいうちは男のほうが断然多くADHDの診断を受けるのはこの多動性にあると思います。私自身もとても「多動性」な息子がいますが、どうしていつもこんなに元気にいられるのかしら、とあきれるほどいつもエネルギーいっぱいです。

そして「衝動的」( Impulsive)、これは思いついたまま行動に移してしまったりすることをいいます。まだまだ謎の多い脳の機能ですが、人間の衝撃性をコントロールする前頭葉(Frontal Lobe)は20代後半になってやっと出来上がるということも最近わかってきました。そうなると子供たちが後々のことまで考えずに衝撃的に行動に移ってしまうのは仕方のないことだったりもするのです。

ただこの3つがあてはまらない子供っているでしょうか?子供のADHDを診断する上で頭の隅においておいてほしいことは、子供はふつう不注意で、他動性で衝動的なものであるということ。「うちの子供もADHDじゃないかしら?」とたくさんの親が思うのはそのためです。

実際にADHDの子供はこのような症状が学校と家と両方でみられ、そのため学校の成績や生活態度にひびいていくのが現実です。アメリカでは6歳から12歳の子供の20人に一人はAHDHの薬を飲んでいるという統計も出ています。こんなに小さいうちから薬を飲むのは、学校で問題なくすごせるように、授業中に集中できるようにという親の希望が一番の理由だと思います。ただ現実として一番多く処方されている子供用のADHDの薬のほとんどには覚せい剤とおなじ成分が入っているという事実もきちんと理解してから、そういう選択をしていくのが大切だと思います。

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それでは薬を選択しない子供にはどんな療法がいいのでしょうか?

一番効果的な療法は運動といわれています。ヨガ、空手、太極拳がなかでも特に効果的だといわれてます。

そして毎日規則正しい生活をすること。休日でもある程度のスケジュールがあったり、家の決まりがしっかりしていたり、次にやることをちゃんと子供が認識していたりすることです。週末だからといってすごく遅くまで起きていたり、お昼近くまで寝ているというのは、子供にとっては大人が思うよりバランスが崩れるものです。

それから繰り返し物事を教えるということはADHDの子供と接している上でとても重要なことです。ADHDの子供たちは普通の子供たちの2倍、3倍同じことを繰り返していわなければ学びません。「何度もいっているでしょ?」「なんでわからないの?」ではなく、最初から繰り返し何度も同じことを教える必要がある、とわかっていて接してください。例えば学校にある「廊下を走らない」というルールも、何回聞いていてもその場になるとすっかり忘れて走ってしまうのがADHDの子供たちです。

しつけもとても大切な療法です。「発達障害があるからうちの子供にはあまり厳しくしつけても・・・」と思っているのであれば、間違いです。しつけをしっかりすることで子供たちは安心感を覚え、きちんと根をはっていくのです。親としては気分で罰を与えるのではなく、いつでも同じルールでいることが大切です。罰を与える場合は(例えばおもちゃを投げたらそのおもちゃを取り上げるとか、ゲームをやめるようにいったのにいつまでも遊んでいたらその次の日はゲームで遊べないとか)その行動とまったく関係のない罰(例えばおもちゃを投げたり、ゲームをやりすぎたことに対して、罰としておやつを抜くなど)を与えるよりなるべくその行動の結果が直接関係したものにすることで、子供は次に同じ行動をとるときに罰について考えることができます。

ADHDの子供が心理カウンセリングにいく場合は、アメリカでは一般的に広く使われている認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy)が薦められています。この認知行動療法についてはまたの機会にお話したいと思っています。他にも新しい療法がいろいろ出てきていているので、またすこしずづ紹介していきたいです。

ADHDは生涯持ち続ける発達障害といわれています。リサーチでは50%以上の子供たちがそのまま大人になっても同じ症状に苦しんでいるという結果が出ています。それでも薬やいろいろな心理療法でその症状を減らし、暮らしやすくすることは可能だというのが現実です。もし「うちの子もADHDじゃないかしら?」と思ったら、まずは子供が毎日なにかしらの運動できるような環境を作ってあげることからはじめるのはどうでしょうか?
2013.11.05 18:41|発達障害
発達障害の中でも感覚統合失調症は診断がつきにくく、「ちょっと変わった普通の子供」との境がとても微妙な分野です。でも、早めに気づいて適当なサポートを得ることで、家族の生活がぐっと楽になり、子供との関わり方も改善されます。

前回は作業療法士とのセラピーの様子や本で読んだことをもとに、触覚過敏な子供への接し方、生活の中で気をつけてきたこと、目指してきたことを体験記としてまとめました。今回はその続きで、日常生活の中でもとても重要な、そしてセラピーをするそもそものきっかけであった、食事についてのお話です。

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食事療法の方は、セラピーをするにあたり、咀嚼に問題があるようだと言われていました。どうやって噛むのかが分かっていない、舌を口の中で動かして食べ物を移動させることができない、ということでした。さらに触覚過敏がここでも影響していて、口の中に固形物があるのを嫌がり、何か固い物が舌にあたるとパニックになってしまい、それを口から出すこともできずに大泣きし、最終的には私がスプーンなどですくい出してやっていました。

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言語療法士とのセラピーでは、まず口の中に色んな物を入れることに慣れることを目標にNukという特殊な形をしたスプーンのようなものに好きなベビーフードをつけて食べさせ、口の中でそのスプーンを上下左右に動かしてやり、口の中の筋肉が刺激を受けるようにしていました

実は私の子供にはこれが大変なストレスだったようで、セラピーの後はそれまで食べていたものでも食べないようになってしまいました。2ヶ月でセラピーをやめてしまったのも、これが大きな原因だったのですが、その後は遊びの中で、子供のほっぺたや口の周りの筋肉をむぎゅむぎゅと動かしてやり(これもそっと触るとストレスがかかるので、ちょっと乱暴なくらいしっかりと)、外側から刺激を与えるようにしたり、面白い顔を作って舌を出したりして、その真似をさせることで、顔の筋肉が動くのを自覚できるような機会を意識的に作ったりしました。ストローも筋肉の発達に良いと聞いたので、飲み物はなるべくストローを使って飲ませるようにもしました。

咀嚼の問題とは別に、新しい食べ物を試したがらないという問題もありました。
この、いわゆる「好き嫌い」というのも、発達障害、感覚統合失調症と関係していることがあります。

咀嚼がうまく行かないために離乳食が進まないのであれば、その筋肉を鍛えて整えてやることがまず必要です。ところが物理的に食べる機能に問題がなくても、たとえば食べ物の匂いをとてもきつく感じる子にとっては、その食べ物を口に入れるのはとても勇気のいることです。私の子供は触覚過敏であり、いったん口に入った物を舌を使って自分で出すこともできなかったので、得体の知れないものを口の中に入れるということはとても怖いことだったのです。
これについても色んな本を読んだ結果、Food Chainingという方法で食べられる物を増やす努力を始めました。

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これは、たとえばもし今食べられる物がパンだけなら、そのパンと何か共通点のある食べ物、例えばソースやチーズのついていないピザを次に試してみる。それが食べられるようになったら、今度はピザにチーズを乗せて試してみる。次はソースを入れて、もしくはチーズトーストにして、というように連鎖を続けることで、徐々にパンとはまったくかけ離れた食べ物を試すことができるようになるという方法です。

そのとき私の子供が食べていたのは、ベビーフートの他にはアップルソースとヨーグルト、小さく切ったバナナ、これも細かく刻んだうどん、そしてたった一種類のクラッカー(噛まなくても口の中で溶ける赤ちゃん用)のみ。このクラッカーとヨーグルトからスタートし、バニラ味のヨーグルトが好きならバニラ味のクラッカーを試してみよう、から始まりました。

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最初はやはり安心できる食べ物以外の物は頑として受けつけず、ハンガーストライキまでして泣かれましたが、ついに新しいクラッカーを一つ食べてみたあとは、とんとん拍子に色んなクラッカーを試すことができるようになり、1ヶ月もすると、クラッカーと名のつく物なら何でも口に入れることができるようになっていました。

ここからチップスやパンも食べることができるようになり、パンケーキやワッフル、フレンチトースト、マフィンなども試すことができるようになりました。考えれば似たような材料のものばかりですが、この子にとっては一つ一つが「新しい食べ物」であり、見た目や味が少しずつ違う物をなるべく多く試していくことで、食べられる物が増えているという自信をつけさせることが大事なのです。

うどんは、ほぼ噛まずに飲み込んでいたものを、徐々に長さを増やして行き、しっかり噛む練習をさせました。ここから、何年もかかりましたが、冷やし中華やそうめん、スパゲッティを食べられるように連鎖させて行きました。

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ヨーグルトも色んな味を試し、そこからスムージー、アイスクリームと広げて行きました。
またベビーフードで大好きだった梨をバナナと同じように小さく切ることで、「バナナと同じ色、同じ形、同じ果物という種類」というつながりを作り、そこから他の果物にも連鎖していきました。これはすんなりとは行きませんでしたが、今年大きな進歩があり、今ではブルーベリー、いちご、ぶどう、プラム、アプリコット、桃、マンゴー、オレンジ、メロン、とほとんどの果物を食べることができます。

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ラズベリーやブラックベリーは、あのでこぼこした表面が苦手で、まだ口の中に入れることができないでいるようですが、これだけの種類の果物を制覇した(口の中に入れて、噛んで、飲み込むことができた)というのは、大きな自信につながっています。

触覚の過敏な子供にとっては、新しい物を食べたがらないというのは、ただの食わず嫌いなのではなく、食べ物を口に入れること自体がチャレンジなので、「とにかく食べて見なさい、おいしいかもしれないんだから」と言うだけでは解決になりません。
でも、「これは前に食べたあの食べ物と見た目が近いよね、食感はこういう感じだと思うよ」と説明することで、口に入れる勇気が出て来るのです。

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先ほど書いたいちご摘みやブルーベリー摘みも、触感セラピーであるとともに、その食べ物がどのように育っているのかを知ることで、そして実際に自分で摘んでみることで、口に入れることへの抵抗が少なくなることを期待していました。

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同じ理由で、キッチンにもなるべく入れてやって、まずは食べなくても良いので、野菜や果物を切るところ、料理をしているところを意識して見せるようにしています。

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そうしていくうちに、食べ物への興味がもっと湧いてきて、ただ見ているだけだったものを、手で触ってみることができるようになり、匂いをかいでみるようになり、舌の先でちょっと舐めてみるようになり、最終的には口の中に入れてみることができるようになります。もちろん食べてみた後で「好きじゃなかった」ということはありますが、それも毎回一口でも良いので食べ続けて行けば、いつかは好きになることもあるかもしれません。それは普通の子でも同じだと思います。ただその最初の一口にたどりつくまでに、時間をかけたプロセスが必要だったのです。

感覚統合失調症は、目に見えないハンディキャップです。でも目に見えるハンディキャップと同様に、何が障害となっていて、どうサポートすれば良いのかを知ることで、生活がぐっと楽になります。
それは親と子の心の健康のために、とても大切なことだと思うのです。また、目に見えないがために症状を理解してもらえずに、しつけのなっていない子、甘く無責任な親だと思われることも大変なストレスになるので、これについての知識と理解が社会に広まることを願って止みません。


そして、感覚統合失調症は、年齢や生活環境の変化に伴って良くなることも多くあります。何もしなくても改善することもありますが、適当なサポートをすることで、その成長をスピードアップさせることも可能ですし、成長の過程で子供のストレスを和らげることも可能だと思います。

障害の有る無しに関わらず、自分の子供を良く知り、その成長をできる形でサポートしてあげたいと思うのは自然な親の気持ちでしょう。感覚統合セラピーは、そんな親の手助けとなり、時に育児の道しるべともなる、とても有用なツールだと思います。
2013.10.29 17:08|発達障害
発達障害の中でも感覚統合失調症は診断がつきにくく、「ちょっと変わった普通の子供」との境がとても微妙な分野です。でも、早めに気づいて適当なサポートを得ることで、家族の生活がぐっと楽になり、子供との関わり方も改善されます。
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今回は、感覚統合失調症の子供を持ち、アメリカでセラピーを経験したことのあるママさんに、セラピーで専門家に教えてもらったことや、感覚統合失調症について彼女がアメリカで出版されている本を読み、家で実践したことなどを体験記としてまとめてもらいました。


<生後まもなくの頃>

私の二人目の子供はよく泣く赤ちゃんでした。

生後すぐの健診の時から、毎回必ず診察台に寝かせた時点で顔を真っ赤にして大泣きをはじめ、診察がすべて終わってもしばらく泣き止みませんでした。かかりつけの小児科医には、「何だか私、この子を虐待しているみたいで申し訳なくなるわ。こんなに泣き叫ぶ赤ちゃんも珍しいわよね」としみじみ言われました。
ただ抱っこしていてもいきなり泣きだし、まったく理由が分からないままだったことが何度もありました。特に抱っこひもに入れていると、毎回のように突然予告なく大泣きが始まりました。おむつを替えていても、爪を切ろうとする時もお風呂に入れる時も、髪を切ろうとした時も、のけぞって大泣き。もしこれが初めての子供だったら、私は赤ちゃんのお世話の仕方や扱い方をまるで分かっていない母親なのだと、子育ての自信をすっかりなくしていたと思います。


<赤ちゃん時代>

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自分で動けるようになり、少し言葉も出るようになってから、ただ泣くということは減りました。代わりに、抱っこしようとすると逃げたり、不意にさわられると悲鳴をあげたりという反応をしていることに気づいてから、ああこの子は人にさわられることに敏感なのだな、と分かってきました。爪を切ろうとすると手を払いのけられ、髪を梳かそうとすると頭を振って抵抗します。抱っこ紐では毎回泣かれていたけれど、ベビーカーに入れると大人しかったのにも納得が行きました。


<1歳前後。歩くようになってから。>

歩けるようになると、さらに試練が待っていました。散歩に出ると、歩道にたくさん落ちていた葉っぱを踏むことができず、回り道。公園に連れて行っても、遊具の周りに敷き詰められている木屑の上を歩きたくないので、ベビーカーから降りようとしない。芝生や砂も苦手でさわれない。フローリングのアパートからカーペットの敷いてある家に引っ越した時には、自分の部屋なのに入れなくてしばらく大泣きしました。
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家の中でも、粘土は触りたくないので遊ばない。ベビーフードも手に付くと、怪我でもしたかのように大騒ぎ。着る洋服にもうるさく、てろてろしたシャツやゆったりしたパンツがお気に入り。靴下を履きたがらないので、寒い冬は中がもこもこしたブーツで防寒。氷点下でも、手袋を絶対にはめないし、帽子も被りたくない。
小さなことですが、他の子達には何でもないようなこと、言って聞かせれば解るようなことが、この子には我慢が出来ない、ということが幾つもありました。

傍目には、甘やかしているように映ったかも知れないと思います。「もっと強く言えば良いんだよ、無理にでも一度やらせてみたら」と言われたこともあります。
でも基本的には素直で明るく、聞き分けの良い子でした。
ただどうしても譲れないという一線があって、そこはどんなに説明しても、なだめてもすかしても無理だったのです。
埒があかないので無理矢理手袋をはめようとした時に、まるで刺のついた手錠をかけられたかのように泣き叫んだあの姿を見たら、もう諦めるしかありませんでした。


<1歳半前後。離乳食の際に>

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『私ひとりでは対処できないかも知れない』、と思ったのは1歳半の時。10ヶ月頃まで順調に進んでいた離乳食が、乳歯が4本ほど一度に生えてきた頃から、固形物を嫌がるようになり、それまで食べていたものを拒否し始め、ついにヨーグルトとアップルソースの他にはとろとろのベビーフードの瓶しか受け付けなくなってしまったのです。

食べ物が思うように食べられず、必要な栄養素を取れないかも知れないのでは、健康に影響が出てしまうと心配して、専門家に助けを求めることにしました。


<専門家を交えての取り組み>

当時住んでいたイリノイ州のEarly Intervention Programという制度では、3歳未満の子供を対象に、運動能力や言語能力、社会性などが月齢に見合ったレベルで発達しているか、遅れが出ている分野がないかを専門のセラピストが診断し、もし遅れが出ていた場合にはセラピーを受けることが出来るようになっています。
作業療法士Occupational Therapistと言語療法士、Speech Therapistを含む3人のセラピストが私たちの家に来て、1時間ほど子供の様子を観察し、あれこれ遊びをやらせてみてその反応を見てみた結果、やはり感覚統合の分野で半年ほどの発達の遅れが見られるという診断が出て、週一回作業療法士によるセラピーと、言語療法士による食事療法を勧められました。

作業療法士のセラピーでは、さわることと触られることに徐々に慣れて行くことを目標に、色々な形、素材の玩具を目につくところに出し、押したり踏んだりすると面白い反応をすることを覚えさせ、積極的にさわるように一緒にいて手を貸してあげます。力の入れ加減を学ぶことと、とにかく筋肉に刺激を与えるように、動かすのに力のいるような遊具が多かったように思います。それから、粘土や絵の具など汚れるものをいつも身近に置くようにして、汚れても良いんだよ、というメッセージを根気よく送り続けました。絵筆自体も、絵の具をつけずに乾いたままのものを使い、それで手の甲をなぞることを少しずつ繰り返すことで、触覚の耐性がつくのだと教えてもらいました。


<セラピーを続ける中、親としての想いとは。>

セラピーはそれぞれ週に一度、1時間のことでしたが、その間いつもよりストレスのかかる刺激を受けるので、終わった後は疲れ果ててぐっすり昼寝をしていました。私も、毎回1時間限界までチャレンジされ続ける子供を見ながら、頑張れ、と思う気持ちと、こんなに無理をさせて本当に良くなるのだろうか、と思う気持ちが交錯していました。それでも、セラピストが提案してくるアクティビティには良いアイデアが詰まっていて、とても参考になりました。
こうして2ヶ月ほどセラピーを続けていた間に、自分でも感覚統合失調症について本を読みはじめ、セラピーを離れたところでは私は親として何ができるのか、これからどういう生活をしていきたいのかについて考えました。そうして思ったのは、日常生活に支障がでない限りは、これを子供の個性だと捉えていた方が私の気持ちが楽になるし、お互いにストレスがたまらない。子供にとってどういうことが障害になっているのかを見極めて、できる範囲で子供の環境を過ごしやすく整えてやるのが私にとってまず一番だということでした。そして、子供にストレスをかけすぎない程度に、少しずつ外界の刺激に触れさせてやりながら、子供が自分で成長するのを待とうと思いました。


<日常生活で実践したこと。>

日常生活の中で子供が過ごしやすい環境を調えるヒントは、本からいくつももらいました。

● 聴覚が過敏な子供には、静かでモノがすっきり整理されているスペースを自分だけのスペースとして与えてやる。
● どうしてもうるさい場所にいなくてはいけないときは、ヘッドフォンをつけさせてやる。
● 視覚が過敏な子供にはなるべくテレビなどを見せない。
● 外出時にはサングラスを常備する。


多くは、少し考えればすんなり納得のいく、自分でも思いつきそうなことでした。触覚過敏の子には、シルクなどのサラサラした肌触りの良い素材が気持ちを落ち着かせる効果があるらしく、特に月齢の低い子には、そういう素材で作ったブランケットなどを使うと良いとありました。ボタンのついたシャツやジーンズを絶対に着たがらなかった私の子供には、無理にかっちりした格好はさせず、スポーツ用のパンツや肌触りの良いシャツをたくさん用意しました。また触覚過敏の子供は、そっと優しく触れられる方が苦手で、かえってがっしりと腕をつかむ方がストレスがかからないと読んだので、お風呂もそろそろとタオルをなでつけるのではなく、ごしごしと背中を洗いました。ぬるま湯でも熱いと泣かれたので、風邪をひかせてしまうかもと思いつつも、かなり冷たい水で足湯にし、上半身はタオルバスだけで乗り切った時期もありました。

そうして普段はなるべくストレスのかからないような生活を維持しながら、機会を見つけて自然とふれあうことのできる場所に連れて行きました。コンクリートの歩道が敷き詰められた都会のアパートで、フローリングの床に慣れていたのは、感覚統合機能の発達という視点から見ると必ずしも良いことではないように思えたのです。たまたま自然の豊かなところに引っ越したのをきっかけに、もう少し自然と仲良しになることで、色々な外界の刺激に対する恐怖感を和らげられるのではと思いました。
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いちご摘みに初めて連れて行ったときは、いちごや葉っぱを触ることはもちろん出来ず、畝の間を通り抜けることさえ出来ずに立ち往生しましたが、そんな時はさっさと抱きかかえて次の場所へ連れて行き、とにかく楽しい思い出がメインとして残るようにしました。
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ブルーベリーも、自分で摘むことは出来なかったけれど、バスケットを抱えてついてくるのは楽しかったようです。そんなことを繰り返して3度目の夏には、土埃の中を歩き回り、自分でブルーベリーを触って摘むことが出来るようになりました。

海水浴に連れて行った時も、最初は砂の上を歩くことができず、ずっと抱きかかえていました。それでもきれいな海の景色や、砂の中で見つけた貝殻などの楽しみを覚えてもらい、砂だけに意識が向かないようにしました。
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そうしているうち、これも3年目くらいに、ふと裸足で砂の上を歩き始め、砂遊びもするようになりました。まだ乾いた砂の所しか行けませんが、そのうち水のかかる所にも行くようになるだろうと思っています。
芝生や砂利道も、公園や庭園などに行って意識して歩かせるようにしました。最初はもちろん歩きたがらないので、抱っこして。そのうち「ちょっと手が疲れたから少しの間立っててね」と降ろし、またすぐ抱っこ。そんなことを繰り返すうち、だんだん大丈夫になってきたのです。
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今では落ち葉の敷き詰められた遊歩道も普通に歩き、きれいな落ち葉を見つけては拾っています。もう一見しただけではまるで普通の5歳の子です。よく見ると、ちょっと神経質だったり臆病に見えたりする行動をとりますが、明らかに何かがおかしいという風に見えることは、もうほとんどありません。それは遅れをとりながらも自分のペースで着実に成長してきているという喜ばしいことではありますが、反面、一見普通であるがために些細なことでつまづいたときに理解してもらいにくい、ただのわがままだと思われてしまいやすい、という点がいつまでも気がかりです。ここは学校に行き始めると特に注意しなければならない点で、先生の理解を得ることは学校生活をなるべくストレスのないものにするために、本当に重要なことだと感じています。


つづく。
今回は我が子の感覚統合失調症に向き合い、専門家からセラピーを受けながらも家庭で日常的に取り組んだ内容についてお話をさせていただきましたが、次回の記事では、私が子供の為に行った食事療法のお話をしたいと思います。
2013.10.23 15:54|発達障害
LoveLifeStyleではここ数回に渡りアメリカ発信で、発達障害の分野において効果を上げている感覚統合セラピーについて紹介しています。「うちの子は席にちゃんと座っていられない」「とにかく落ち着きがないけれど大丈夫かしら?」と不安に感じる親御さんも多いのでは。今回は、前回の記事で取り上げた感覚の中の1つである『運動感覚』を例にあげ、より深く絞り込んでお話したいと思います。
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前回の記事では『自分の子供の感覚を理解することから始める』、というテーマでお話をしましたが、記事を読んだ後に自分の子供の感覚の度合いについて改めて気付いたことはありましたか?
「言われてみればうちの子は視覚が敏感かも」などと感じたこともあったのではないでしょうか。

このように感覚の度合いが鋭かったり鈍かったりする為に、日常の様々なシーンで支障が出てきてしまっている子供達は意外と多くいるものです。
では、子ども達が日常生活をより快適に、支障を感じることなく過ごせる為に用意された感覚統合セラピーというものが実際どのようなものなのかを見て行きましょう。

<運動感覚>

まずは運動感覚を例にとってみます。
※(運動感覚の説明は感覚統合セラピー第一回目の記事ごご参照ください)。

★症状
運動感覚が敏感な子供にはこのような症状が主に見られます。

● 玩具をバンバンとテーブルにぶつける。
● 物や人に突進して体当たりする
● 持っている物をすぐ落す。
● 狭くてきつい場所を好む。
● 体の上に重い物を乗せたりすることを喜ぶ。
● 机に寄りかかる。
● 揺れる物が好き。
● むやみに人に抱きついたりする。



<これらの症状がある子供達=感覚統合が上手くなされていない>


アメリカの学校にはオキュペーショナル•セラピスト=OT(作業療法士)と呼ばれる感覚統合専門のスペシャリストがいます。彼らは感覚統合が上手くなされていない子供達にセンサリースクリーニングという感覚の度合いを測るテスト※(第一回目の記事を参照)を施し、それぞれの子供達の感覚がどの用に機能しているかなどを理解した後で、そのようなセラピーやツールを使用しながら、子供達の感覚を統合していく術を考えます。

★現場で使用されるツール
このように運動感覚の敏感な子供達は静かに椅子に座っていることがなかなか難しいので学校にいるオキュペーショナル•セラピストにより様々なツールが用意されます。
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● 椅子の上に敷くデコボコクッション(中に少し空気が入って表面がでこぼこしている物)
● エクササイズボール(通常エクササイズなどに使用される大きいボール)
● 膝に乗せられる少し重ためのクッション
● 重さが感じられるチョッキ


<アメリカの学校の現場で実際に行われていることとは?>

授業中などこれらの道具やツールを使用することで、落ち着いて勉強に集中できるようにする為です。その他にはトランポリンもとても良いセラピーです。私の息子が通っていた保育園には廊下に小さなトランポリンが置いてありました。子供達が落ち着きが無くなり先生の言う事が聞けなくなってくると、子供達は一旦部屋の外に出てトランポリンで30回ジャンプをしてから部屋に戻って来るということが行われていました。

勿論どの子供にも落ち着く為、次の動作に移行し易いツールとしてトランポリンが合っている訳ではないのですが、うちの息子にはトランポリンが合っていたようです。息子が通っていたのは特殊学級ではなく一般の保育園でしたが、保育園に感覚統合の知識と理解があった為、子供達の感覚を上手く取り入れることで社会的なマナーを身につける教育がなされていたことは有り難いことでした。

そのほかに運動感覚を統合するには、重い荷物を運んだり家具を動かしたりするのも良いことです。私が勤務している小学校の1年生のクラスでは、休み時間ごとに子供達に自分の机を移動させます。算数の時間はそれぞれの机は黒板を向いているのですが、次の社会の時間に皆で話合えるようにと休み時間に机を円の形に移動させます。
この机を移動する作業こそが、感覚統合を上手く使った工夫なのです。授業と授業の間の時間を利用し、子供たちの『運動感覚』を使うことで、授業中、長時間座っていられることが出来る為のちょっとした工夫。このように先生が工夫を凝らすことで子供達の感覚が上手く統合されていくことが可能になります。

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日本における普通の保育園でも、何かをスムースに行えない子供達をただ叱ったり、こうでなくてはダメだと正しいことをマニュアル通りに教えるだけではなく、感覚統合の知識と理解が、学校そして先生がたに広まることで、より多くの子供達が心地よく学校生活を送れるのではないかと私は考えます。


<家庭で行える感覚統合を使った取り組みとは?>

それでは次に家庭において感覚統合を使ってどのような事が出来るのか、というお話をさせていだきます。
先ほど例に上げたアメリカの学校でよく使用されるデコボコクッション、セラピーボール、重り入りの膝上クッション、重たいベストなどの道具をご家庭で使用していただくことは効果的です。既成の品を購入することも出来ますが、膝上クッションはご自分でも簡単に作れる物です。私は中に豆を沢山入れて自分で手作りした膝上クッションを使っていました。その他、運動感覚の敏感な子供が家で行える事としては、リュックサックに電話帳などを入れて重くして子供に10分ほどしょってもらうのも効果的です。

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その他には、昔ながらの重い布団(最近の羽毛のものはとても軽いですよね)を体の上に乗せてあげる(頭は出しておいてくださいね)のも子供の気持ちを落ち着かせます。私のお友達が「お布団お話タイム」と名付けて、1日に3回ほど子供を重い布団の下に10分ほど寝かせてその間横でお話をしてあげていたのを覚えています。そのお子さんはこの時間をとても楽しみにしていて、自分から喜んでお布団の中に入るのですが、このように体にかかる重力には子供を落ち着かせる効果があります。

運動感覚が敏感な子供の中には5歳くらいになっても眠るまで時間がかかったり、また、眠りが浅く夜中に何度も起きてしまう子供がいますが、このような症状がある場合には、少し重さがある布団に変えてみるのもいいかもしれません。
その他の方法としては、寝付けない場合、一旦子供を10分ほど布団の外に出して、すべての関節が動くような運動をさせるのも良いかと思われます。

また、子供が少しそわそわと落ち着き無く動きだしたら、壁に子供の手形を型取った紙を張っておき、その手形に両手を合わせ一分間くらい思いっきり体重をかけて押させてみるのも子供の情緒を安定する方法として、かなり効果的です。
子供達は家庭用の小さなトランポリンでも喜んで遊ぶように、遊びが自然と感覚統合のセラピーになっているということは親としても嬉しいことですよね。ただ気を付けなくては行けない事としては、どちらの方法にせよ、あまり長時間行うと逆に興奮して落ち着けなくなる場合があるということです。そのためトランポリンなどは何回、何分と時間を決めてさせることをお勧めします。


<親として、そしてカウンセラーとして>

当時、私の息子が2,3歳の頃、食事中にきちんと座っていることが出来ず、私は他の子供と比べて自分の子が落ち着きがないことを心配し、しょっちゅう注意してしまう自分が嫌になっていました。
その時、「果たして、この年齢で食事中じっと静かに座っていられるものなのか?」と疑問に思い自分自身に問いかけてみたところ、出てきた答えというものが「息子はこんなに落ち着かずに動いてしまっている。でもこれはきっと本人はどうしようも出来ないことなのかもしれない」というものでした。その後自分の考えを改め、『ただ注意をする』ということより『どのようにしてこの子が居心地よくご飯を食べられるのか』ということを中心に考えてみたのでした。そして息子の為に膝上クッションを作るという策を思いつきました。
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膝上クッションは運動感覚に過敏な息子の情緒を安定させるツールとして大変効果を発揮し、その後一年ほど使用していました。

幼い頃は感覚の発達もまちまちです。感覚の統合が上手くなされていないお子様をもつ親としては子供の動作や行動に疑問を抱き、とても心配になるものです。初めての子供の場合は尚更心配になりますし、つい他の子供と比べてしまいがちです。

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しかし感覚統合セラピーの知識があれば、子供の行動をもっと理解することができるし、対応の仕方も広がるものです。

<感覚統合セラピーを行う上で重要なポイントとは?>

まず、感覚統合セラピーを行う場合は、その子を他の子供達と比べたりするのではなく、その子の感覚の度合いと向き合うことが大切なポイントとなります。出来る、出来ない。早い、遅れているということを見るのではなく、持って産まれた子供の感覚がどのようなものなのか、この子がその場の環境においてどのように感じているのだろうかなど、深く子供を観察することが大切であり、そして親として教育者として辛抱強く子供の成長過程を見守ることが大切であると思うのです。


<ズバリ、感覚統合セラピーの概念とは?>

一般的には、幼い頃ほど感覚統合に差が生じます。子供達は成長の過程で少しずつ自分の感覚を慣らしていく為、幼少期にとても気になったことや嫌がったことなど、例えば洋服のタグが気になり洋服が着れなかった子でも、成長するうちに我慢出来るようになり、そのうちに、さほど気にならなくなったりするのです。
ですので、感覚統合セラピーは『直る、直らない』という概念のものではないのです。親が子供を育てる上で、子供が元々持って生まれた感覚を理解しながら生活していく中で、どのように日々の生活を心地よい環境に整えられるか、というところが大切なポイントになります。
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繰り返しになりますが、つまり感覚統合セラピーというのは、その子の生まれ持った感覚を治していくというものではなく、その子の感覚を理解した上で敏感な部分、そして鈍感な部分を徐々に環境に慣らし、日々の生活を過ごし易く整えてあげられるよう親と教育者がサポートする療法のことをいいます。



<次回予告>

さて、次回の感覚統合セラピーについての予告になりますが、アメリカ在住の日本人ママさんで、日々の生活で感覚統合セラピーを使い子育てをされている体験談や感想など、お母さんとしての子育ての実話を話していただく予定でいます。日本における感覚統合セラピーと重なる部分、また耳に新しい情報など参考に成る部分も多々あると思いますので楽しみにしていてくださいね。
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プロフィール

Appolonia

Author:Appolonia
自らのアトピー体質がきっかけで化学物質と無縁の生活と自然治癒の生き方を志す。
アメリカに17年滞在後2011年、日本へ帰国。
オーガニックの先駆者が集まるサンフランシスコで暮らし、
そして、よりロハス的な生き方を求め、オレゴン州ポートランドに移住。
アメリカの真のロハス文化を日本に伝え、日本の伝統的な文化をアメリカに紹介するプロジェクトを計画し日々奮闘中。
2児の母親。最近のマイブームは休日のオーガニック&ベジタリアンレストラン巡り。

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