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「ちょっと変わった普通の子」後半編。食育療法への取り組み。

2013.11.05 18:41|発達障害
発達障害の中でも感覚統合失調症は診断がつきにくく、「ちょっと変わった普通の子供」との境がとても微妙な分野です。でも、早めに気づいて適当なサポートを得ることで、家族の生活がぐっと楽になり、子供との関わり方も改善されます。

前回は作業療法士とのセラピーの様子や本で読んだことをもとに、触覚過敏な子供への接し方、生活の中で気をつけてきたこと、目指してきたことを体験記としてまとめました。今回はその続きで、日常生活の中でもとても重要な、そしてセラピーをするそもそものきっかけであった、食事についてのお話です。

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食事療法の方は、セラピーをするにあたり、咀嚼に問題があるようだと言われていました。どうやって噛むのかが分かっていない、舌を口の中で動かして食べ物を移動させることができない、ということでした。さらに触覚過敏がここでも影響していて、口の中に固形物があるのを嫌がり、何か固い物が舌にあたるとパニックになってしまい、それを口から出すこともできずに大泣きし、最終的には私がスプーンなどですくい出してやっていました。

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言語療法士とのセラピーでは、まず口の中に色んな物を入れることに慣れることを目標にNukという特殊な形をしたスプーンのようなものに好きなベビーフードをつけて食べさせ、口の中でそのスプーンを上下左右に動かしてやり、口の中の筋肉が刺激を受けるようにしていました

実は私の子供にはこれが大変なストレスだったようで、セラピーの後はそれまで食べていたものでも食べないようになってしまいました。2ヶ月でセラピーをやめてしまったのも、これが大きな原因だったのですが、その後は遊びの中で、子供のほっぺたや口の周りの筋肉をむぎゅむぎゅと動かしてやり(これもそっと触るとストレスがかかるので、ちょっと乱暴なくらいしっかりと)、外側から刺激を与えるようにしたり、面白い顔を作って舌を出したりして、その真似をさせることで、顔の筋肉が動くのを自覚できるような機会を意識的に作ったりしました。ストローも筋肉の発達に良いと聞いたので、飲み物はなるべくストローを使って飲ませるようにもしました。

咀嚼の問題とは別に、新しい食べ物を試したがらないという問題もありました。
この、いわゆる「好き嫌い」というのも、発達障害、感覚統合失調症と関係していることがあります。

咀嚼がうまく行かないために離乳食が進まないのであれば、その筋肉を鍛えて整えてやることがまず必要です。ところが物理的に食べる機能に問題がなくても、たとえば食べ物の匂いをとてもきつく感じる子にとっては、その食べ物を口に入れるのはとても勇気のいることです。私の子供は触覚過敏であり、いったん口に入った物を舌を使って自分で出すこともできなかったので、得体の知れないものを口の中に入れるということはとても怖いことだったのです。
これについても色んな本を読んだ結果、Food Chainingという方法で食べられる物を増やす努力を始めました。

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これは、たとえばもし今食べられる物がパンだけなら、そのパンと何か共通点のある食べ物、例えばソースやチーズのついていないピザを次に試してみる。それが食べられるようになったら、今度はピザにチーズを乗せて試してみる。次はソースを入れて、もしくはチーズトーストにして、というように連鎖を続けることで、徐々にパンとはまったくかけ離れた食べ物を試すことができるようになるという方法です。

そのとき私の子供が食べていたのは、ベビーフートの他にはアップルソースとヨーグルト、小さく切ったバナナ、これも細かく刻んだうどん、そしてたった一種類のクラッカー(噛まなくても口の中で溶ける赤ちゃん用)のみ。このクラッカーとヨーグルトからスタートし、バニラ味のヨーグルトが好きならバニラ味のクラッカーを試してみよう、から始まりました。

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最初はやはり安心できる食べ物以外の物は頑として受けつけず、ハンガーストライキまでして泣かれましたが、ついに新しいクラッカーを一つ食べてみたあとは、とんとん拍子に色んなクラッカーを試すことができるようになり、1ヶ月もすると、クラッカーと名のつく物なら何でも口に入れることができるようになっていました。

ここからチップスやパンも食べることができるようになり、パンケーキやワッフル、フレンチトースト、マフィンなども試すことができるようになりました。考えれば似たような材料のものばかりですが、この子にとっては一つ一つが「新しい食べ物」であり、見た目や味が少しずつ違う物をなるべく多く試していくことで、食べられる物が増えているという自信をつけさせることが大事なのです。

うどんは、ほぼ噛まずに飲み込んでいたものを、徐々に長さを増やして行き、しっかり噛む練習をさせました。ここから、何年もかかりましたが、冷やし中華やそうめん、スパゲッティを食べられるように連鎖させて行きました。

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ヨーグルトも色んな味を試し、そこからスムージー、アイスクリームと広げて行きました。
またベビーフードで大好きだった梨をバナナと同じように小さく切ることで、「バナナと同じ色、同じ形、同じ果物という種類」というつながりを作り、そこから他の果物にも連鎖していきました。これはすんなりとは行きませんでしたが、今年大きな進歩があり、今ではブルーベリー、いちご、ぶどう、プラム、アプリコット、桃、マンゴー、オレンジ、メロン、とほとんどの果物を食べることができます。

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ラズベリーやブラックベリーは、あのでこぼこした表面が苦手で、まだ口の中に入れることができないでいるようですが、これだけの種類の果物を制覇した(口の中に入れて、噛んで、飲み込むことができた)というのは、大きな自信につながっています。

触覚の過敏な子供にとっては、新しい物を食べたがらないというのは、ただの食わず嫌いなのではなく、食べ物を口に入れること自体がチャレンジなので、「とにかく食べて見なさい、おいしいかもしれないんだから」と言うだけでは解決になりません。
でも、「これは前に食べたあの食べ物と見た目が近いよね、食感はこういう感じだと思うよ」と説明することで、口に入れる勇気が出て来るのです。

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先ほど書いたいちご摘みやブルーベリー摘みも、触感セラピーであるとともに、その食べ物がどのように育っているのかを知ることで、そして実際に自分で摘んでみることで、口に入れることへの抵抗が少なくなることを期待していました。

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同じ理由で、キッチンにもなるべく入れてやって、まずは食べなくても良いので、野菜や果物を切るところ、料理をしているところを意識して見せるようにしています。

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そうしていくうちに、食べ物への興味がもっと湧いてきて、ただ見ているだけだったものを、手で触ってみることができるようになり、匂いをかいでみるようになり、舌の先でちょっと舐めてみるようになり、最終的には口の中に入れてみることができるようになります。もちろん食べてみた後で「好きじゃなかった」ということはありますが、それも毎回一口でも良いので食べ続けて行けば、いつかは好きになることもあるかもしれません。それは普通の子でも同じだと思います。ただその最初の一口にたどりつくまでに、時間をかけたプロセスが必要だったのです。

感覚統合失調症は、目に見えないハンディキャップです。でも目に見えるハンディキャップと同様に、何が障害となっていて、どうサポートすれば良いのかを知ることで、生活がぐっと楽になります。
それは親と子の心の健康のために、とても大切なことだと思うのです。また、目に見えないがために症状を理解してもらえずに、しつけのなっていない子、甘く無責任な親だと思われることも大変なストレスになるので、これについての知識と理解が社会に広まることを願って止みません。


そして、感覚統合失調症は、年齢や生活環境の変化に伴って良くなることも多くあります。何もしなくても改善することもありますが、適当なサポートをすることで、その成長をスピードアップさせることも可能ですし、成長の過程で子供のストレスを和らげることも可能だと思います。

障害の有る無しに関わらず、自分の子供を良く知り、その成長をできる形でサポートしてあげたいと思うのは自然な親の気持ちでしょう。感覚統合セラピーは、そんな親の手助けとなり、時に育児の道しるべともなる、とても有用なツールだと思います。
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プロフィール

Appolonia

Author:Appolonia
自らのアトピー体質がきっかけで化学物質と無縁の生活と自然治癒の生き方を志す。
アメリカに17年滞在後2011年、日本へ帰国。
オーガニックの先駆者が集まるサンフランシスコで暮らし、
そして、よりロハス的な生き方を求め、オレゴン州ポートランドに移住。
アメリカの真のロハス文化を日本に伝え、日本の伝統的な文化をアメリカに紹介するプロジェクトを計画し日々奮闘中。
2児の母親。最近のマイブームは休日のオーガニック&ベジタリアンレストラン巡り。

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